相続案件にかかる弁護士費用の目安
1 相続案件に限らず,弁護士費用がいくらになるかについて,おおまかなイメージでももっていらっしゃる方は,そう多くないと思います。
弁護士費用につきましては,一律に説明することができない部分もありますが,一般的な目安を説明すると,以下のとおりになります。
2 前提として,弁護士費用には,一般的に,着手金と報酬金があるということを押さえておく必要があります。
次に,特約に加入していたとしても,それが一般的にどのようなものであるかをしっていたなければ,自由に使うことができません。
そこで,以下で同特約の一般的な特徴を紹介させていただきます。
- ⑴ 着手金は,案件を進める前の段階で発生する費用です。
案件を進める前に発生しますので,想定される請求金額を算定し,着手金が計算されることとなります。
このため,最終的な解決の段階で,相手方から金銭等を回収することができなかったとしても,基本的には,着手金が返還されることはないとされています。
- ⑵ 報酬金は,案件が解決した段階で発生する費用です。
報酬金については,実際に相手方から回収した金額を基準として報酬金の額を決める弁護士もいれば,相手方から回収できたかどうかにかかわらず,判決で決められた金額を基準として報酬金を決める弁護士もいます。
3 弁護士費用については,かつて,日本弁護士会連合会が報酬等基準規程を設けており,基本的には,どの弁護士も,報酬等基準規程に従い,費用を決めていました。
一般的な民事事件の訴訟事件については,以下のような定め方がされていました。
- ⑴ 着手金
事件の経済的利益の額が
・ 300万円以下の場合
経済的利益の8%
・ 300万円を超え,3000万円以下の場合
経済的利益の5%+9万円
(以下略)
- ⑵ 報酬金
事件の経済的利益の額が
・ 300万円以下の場合
経済的利益の16%
・ 300万円を超え,3000万円以下の場合
経済的利益の10%+18万円
(以下略)
4 遺産分割の案件について
遺産分割の案件については,報酬等基準規程は,分割の対象となる財産の範囲について争いがなく,かつ相続分の範囲について争いがない部分については,経済的利益の額に3分の1を乗じるものとしていました。
5 現在では,報酬等基準規程は廃止され,各弁護士が,依頼者と協議の上,自由に費用を決めることができるとされています。
もっとも,現在でも,かつての報酬等基準規程に基づき,費用を決めている弁護士が多いです。
たとえば,遺産分割の案件で,分割の対象となる財産の範囲について争いがなく,かつ相続分の範囲について争いがない案件で,取得する財産の額が1500万円の場合は,上記の基準に従えば,以下のとおりになります。
・ 経済的利益
1500万円×3分の1=500万円
・ 着手金
(500万円×5%)+9万円=34万円
・ 報酬金
(500万円×10%)+18万円=68万円
6 現在では,特定の案件については,報酬等基準規程を用いないという弁護士も増えてきています。
当法人も,遺産分割,遺留分減殺請求の案件につきましては,基本的には着手金を設けないこととしています。
当法人の費用の詳細につきましては,該当するホームページをご覧ください。